孫が、来春大学を卒業するということで、やはり着物に袴でというような話題が出始めました。近頃は、大学に業者が入り、前もって貸し衣装の予約を受け付けて、当日には、着付けに記念写真にと、流れ作業で多くの学生の要望に応えているようです。それもまた安価で効率よくとりおこなわれる、これもまた一つの時代の流れでしょうね。
しかし、大切な儀式の日に 「着物を着たい」という気持ちを、今の若者達が持っている。否、持っていた、ということに驚きました。しかしながら、着物を着るということは、なかなか厄介なことです。下着も洋服から和服へと着替えるのは面倒で手間もかかります。また、行動力も低下するので、現在の生活様式には適していないかも知れません。
この世界を知れば知るほど、着物というフアッションは不思議に、日本人に最も適している最高の衣類ではないかと感じます。寝巻きから第一礼装まで他に類を見ることの出来ない様々な組み合わせの中で楽しむことも出来ます。また、同じ着物でも着る人によって、着方によって個性がかわります。
この、奥深い和服というフアッションの世界になくてはならないのが「着こなし」です。この「着こなし」を身に付けるには、少々の熟練を要するのですが、その枠を突破さえすれば、品格・粋・色気さえも思いの儘です。また、「着こなし」ことさえ出来れば、着物は、めんどうなものでもなく行動力を損なうものでもありません。
この度は、先の「着物を着てみたい」と言う若者のためにこんなことをして見ました。
袴といえば男物などは「仙台平」という精巧な織物で江戸時代から作られていたことは広く知られていますが、女物は近年では、ウールなどを用いて、ぼかし模様であったり、刺繍を入れたりして、卒業式の定番の様に楽しんでいるようですが、それもまた然り。
そこで、先日、タンスに眠っていた紬や、お召しの着物を出してほどいて「洗い張り」をしてもらいました。そして、紬は、其の儘「袴」に仕立て、お召しは、全面に極うすい接着芯をはり、これも「袴」に仕立てました。とても見事な風合いの袴になりました。
もう一つびっくりすることがあります。着物は一枚で袴を一着作ることが出来て、端切れ一つ残らなかったことです。ちょっと楽しんで試してみてください。立礼の茶席などに流行るかも…
(cherry garden)